在宅勤務で会社のネットワークにつなぐとき、多くの場合VPNを使います。このとき効いてくるのは、回線の最高速度ではなく上り速度とPing値です。
この記事では、VPN利用時に何が影響するのか、遅いと感じたときにどこを見るべきかを整理します。
先に結論
- VPNは必ず速度が落ちます/暗号化と経路の迂回が原因です。
- 上り速度とPing値が効く/下り速度の優先度は低めです。
- 有線接続が前提/Wi-Fiのジッターが接続断につながります。
- 接続先の性能にも左右されます/回線側だけでは解決しません。
VPNで見るべき指標は普通と違う
| 一般的な比較 | VPN利用時に見るべき点 |
|---|---|
| 下り速度の最大値 | 上り速度 |
| 「1Gbps対応」の表記 | Ping値とジッター |
| 月額料金 | 接続の安定性(切断の少なさ) |
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比較記事に並ぶ「最大1Gbps」は下り速度です。VPN経由の業務では、この数字はほとんど意味を持ちません。
なぜVPNだと遅くなるのか
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 暗号化・復号の処理 | 端末とサーバー双方に負荷がかかります |
| 経路の迂回 | 直接つなぐより距離が伸び、Ping値が上がります |
| 接続先サーバーの混雑 | 同時利用者が多いと遅くなります |
| プロトコルの制御 | 通信効率が下がります |
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VPNを使うと速度が落ちるのは仕組み上の当然です。問題は「落ちた後でも実用的な水準を保てるか」です。
回線側で効いてくる指標
| 指標 | VPNでの重要度 | auひかり(有線平均) |
|---|---|---|
| 上り速度 | 高い | 約887Mbps |
| Ping値 | 高い | 約16ms |
| ジッター | 高い | 有線なら小さい |
| 下り速度 | 中程度 | 約929Mbps |
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なぜ上りが効くのか
- VPN経由では、自分の端末から送るデータもすべてトンネルを通ります
- ファイルの送信、画面共有、会議の映像はすべて上りです
- 多くの回線は上りが下りより遅い設計のため、ここがボトルネックになりがちです
- auひかりの上りは下りとほぼ同水準で、この点で有利になります
Ping値は回線を変えても限界があります
- 接続先サーバーが遠ければ、その分の遅延は避けられません
- 海外のサーバーに接続する場合、物理的距離による遅延はどの回線でも同じです
- 回線側で改善できるのは、自宅から出るまでの区間です
有線接続が前提になる
| 項目 | 有線 | Wi-Fi |
|---|---|---|
| ジッター | 小さい | 大きい |
| 接続の切断 | 起きにくい | 起きることがあります |
| 速度の安定 | 安定 | 環境で変動 |
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VPNは接続が切れると再認証が必要になることがあります。作業中に何度も切れると効率が大きく下がるため、有線接続にしてください。
有線にするときの確認
- LANケーブルはカテゴリ5e以上/カテゴリ5だと100Mbpsで頭打ち
- ホームゲートウェイに直結/機器を挟むほど不安定要因が増えます
- ノートPCにLANポートがない場合/USB-LANアダプタで対応できます
遅いときの切り分け
- VPNを切って測定する回線そのものの速度を確認します。有線接続で行ってください。
- VPNを接続して測定する差がVPNによる低下分です。
- 時間帯を変えて測る接続先サーバーの混雑を確認できます。
- Wi-Fiと有線で比べる差が大きければWi-Fi側の問題です。
- 同僚と比較する同じVPNで全員が遅いなら、接続先の問題です。
| 測定結果 | 原因 |
|---|---|
| VPN無しでも遅い | 回線または宅内環境 |
| VPN有りだけ極端に遅い | 接続先サーバーまたは設定 |
| 特定の時間帯だけ遅い | サーバーの混雑 |
| 有線とWi-Fiで差が大きい | Wi-Fi環境 |
| 全員が同じ症状 | 接続先の問題。回線では解決しません |
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マンションの配線方式に注意
| タイプ | 最大速度 | VPN利用 |
|---|---|---|
| 光配線方式 | 1Gbps | 問題なし |
| タイプG | 664Mbps | 問題なし |
| タイプV/E | 100Mbps | VPNで落ちると余裕が少なくなります |
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タイプV・Eは上限が100Mbpsです。VPNで速度が落ちることを踏まえると、余裕が少なくなります。家族の同時利用が重なると影響が出やすくなります。
設定は勤務先の指示に従う
回線側でできることは限られます
- VPNの接続方式、認証、必要な設定は勤務先が指定します
- ポート開放などが必要な場合も、まず情報システム部門に確認してください
- 個人でルーターの設定を変更すると、セキュリティ上の問題が生じる可能性があります
- auひかりはIPv6 IPoEに標準対応していますが、VPNの動作は接続先の仕様によります
用途別に必要な水準
| 作業 | VPN経由で必要な目安 |
|---|---|
| メール・チャット | 数Mbpsで足ります |
| 社内システムの利用 | 数Mbps+低Ping |
| ビデオ会議 | 上り3〜10Mbps |
| 画面共有をする側 | 上りの負荷が上がります |
| 大容量ファイルの送信 | 上りが速いほど有利 |
| リモートデスクトップ | Ping値とジッターが効きます |
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数字としては大きくありません。問題は「VPNで落ちた後でもこの水準を安定して保てるか」です。
環境を整える順番
効果の大きい順
- ①有線接続にする/最も効果が大きく、費用もほぼかかりません
- ②LANケーブルの規格を確認/カテゴリ5e以上
- ③ホームゲートウェイに直結/機器を挟まない
- ④作業中の他の通信を止める/自動更新やクラウド同期
- ⑤時間帯を変えて測定する/接続先の混雑を把握できます
VPN利用に関するよくある質問
VPNを使うとどれくらい遅くなりますか?
環境によって差が大きく、一概には言えません。暗号化の処理、経路の迂回、接続先サーバーの性能と混雑が影響します。まずVPNの有無で測定して、差を把握してください。
回線を乗り換えれば速くなりますか?
VPN無しの状態で十分な速度が出ているなら、回線は原因ではありません。接続先サーバーの混雑や設定が原因の可能性が高くなります。まず切り分けてから判断してください。
10ギガにすればVPNが快適になりますか?
効果は限定的です。VPNのボトルネックは接続先サーバーや暗号化処理にあることが多く、帯域を広げても改善しないことがあります。まず有線接続にすることのほうが効果的です。
VPN接続が頻繁に切れます。
Wi-Fi接続なら有線に切り替えてください。ジッターや一時的な切断が原因のことが多くあります。有線でも切れる場合は、接続先の設定やタイムアウトの可能性があるため、情報システム部門に相談してください。
ポート開放は必要ですか?
一般的な企業VPNでは不要なことが多くあります。必要な場合は勤務先から指示があるはずです。自己判断で設定を変更せず、まず情報システム部門に確認してください。
家族も同時にネットを使います。影響しますか?
帯域を分け合う形になります。auひかりは上りが有線平均で約887Mbpsあるため余裕がありますが、マンションのタイプV・Eでは上限が100Mbpsです。VPNで落ちることを踏まえると、同時利用の影響を受けやすくなります。
auひかりはVPNに向いていますか?
上り速度が有線平均で約887Mbpsと下りとほぼ同水準で、Ping値も約16msです。独自回線のため混雑時間帯の低下も受けにくく、条件としては有利です。ただし実際の快適さは接続先の環境にも大きく左右されます。
回線で解決すること・しないこと
| 症状 | 回線で解決するか |
|---|---|
| VPN無しでも遅い | 解決する可能性があります |
| Wi-Fiでだけ切れる | 有線化で解決します |
| 特定の時間帯だけ遅い | 接続先の混雑。解決しません |
| 同僚も同じ症状 | 接続先の問題。解決しません |
| 海外サーバーで遅延が大きい | 物理的距離。解決しません |
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上2つは自分で改善できます。下3つは回線を乗り換えても変わりません。切り分けてから判断してください。
測定するときの注意
条件を揃えて比べる
- VPN無し/有りで同じ端末を使う/端末が違うと比較になりません
- 必ず有線で測る/Wi-Fiだと変動要因が増えます
- 同じ時間帯で比べる/混雑の影響を切り分けられます
- 複数回測る/1回の結果では判断できません
- 上りの数値を記録する/下りだけ見ても意味がありません
まとめ
この記事の要点
- VPNは仕組み上、必ず速度が落ちます。落ちた後の水準が問題です。
- 効くのは上り速度とPing値。下り速度の優先度は低めです。
- 有線接続が前提。Wi-Fiのジッターは接続断につながります。
- VPNの有無で測定して、原因が回線側かを切り分けてください。
- 設定は勤務先の指示に従う。自己判断で変更しないでください。
まずVPNを切った状態で有線測定してください。そこで十分な速度が出ていれば、原因は回線ではありません。
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※本記事の内容は2026年8月時点の公開情報に基づく参考値です。実際の速度は利用環境により異なります。
【出典・注記】
- 実測速度:みんなのネット回線速度に投稿された直近3ヶ月のauひかり測定結果の平均値(有線・下り約929Mbps/上り約887Mbps/Ping約16ms)
- VPNに関する記述は一般的な仕組みの整理です。具体的な設定・動作・利用可否は、接続先のネットワーク管理者にご確認ください。
- 記載の速度はベストエフォート型サービスの技術規格上の最大値です。表記の金額はすべて税込です。